ストレートバーを使った
ワイドグリップ
スタンディングバーベルカール



 
EZカールバーを使った
ナローグリップ
スタンディングバーベルカール



 本誌97年10月号、第1回目の『筋電図が解き明かすエクササイズの効果』ではどのようなカール系の種目が上腕二頭筋を最も刺激するかを調べた。今月は、スタンディングでのバーベルカール種目に限定し、どのようなバーを使ったほうがよく効くのか、どのようなグリップ幅でバーを握るやり方が効果的なのかについて分析していく。
 これまで、特定の種目を様々なバリエーションで行なう場合、「最も効くやり方は、自分にとっていちばんやりやすいやり方」であると言われてきた。しかし、これではあまりにも漠然としているし、人によっては「もっと科学的な答えがほしい」という人もいるだろう。最も効くバリエーションはどれなのか、そのひとつの答えとしてEMGを使った分析を行なってみることにした。

●採用種目と検査方法
 被験者に選ばれたのは2人の男性と、2人の女性である。全員が神経系の病気をもっていない健康体であることがあらかじめ診断されていた。被験者たちは全員が2年以上のトレーニング歴を持っており、過去に一度もドーピングをしたことがない人たちである。
 実験は2日間にわたって行なわれた。1日目に行なわれたことは、4つのバリエーションでの1RM(1レップできる最高重量)を調べることで、被験者たちは以下のやり方でそれぞれの数値を測定した。
 まずは1RMの約50%の重量を使って4レップスのウォームアップを行なう。次に80%の重量で3レップス、続いて90%で2レップスを行なった。各セットの間には5分ずつのインターバルをとった。ウォームアップが終わったら、被験者たちは1RMの重量でそれぞれの種目を3回ずつ行なった(1レップ×3セット)。ここでもセット間の休憩は5分ずつとった。
 2日目、被験者たちは1RMの80%の重量で1レップ×5セットを行なった。セット間の休憩は3分とった。
 実験の対象となったバリエーションは次の4種目である。どのやり方でも共通しているのは立った姿勢でバーベルカールを行なうという点である。

  1:EZカールバー(湾曲したバー)を使ってナローグリップ(狭いグリップ幅)で握るやり方。
2:ストレートバーを使ってナローグリップで握るやり方。
3:ストレートバーを使ってワイドグリップ(広いグリップ幅)で握るやり方。
4:EZカールバーを使ってワイドグリップで握るやり方。
 それぞれの種目でのEMGが測定され、すべてのデータは1秒ごとに刻まれてグラフにされた。1RMで最も高い1EMG(1秒間で最も高いEMG値)を1EMGマックスとし、1RMを3セット行なったときにそれぞれのセットで得られた1EMGマックスの平均を算出した。さらに、1RMの80%の重量を使って5セット行なったときの1EMG平均値も算出した。

●実験結果

 EZカールバーを使ったときも、ストレートバーを使ったときもナローグリップで行なう場合の差はほとんど見られなかった。ただ、いずれのバーでもワイドグリップで行なうと明らかに上腕二頭筋への刺激率は低下していた。この実験結果から、上腕二頭筋を刺激するのであれば、どんなバーを使う場合であってもナローグリップで行なうことが望ましいということが言える。

●結論
 今回のEMGの実験から、バーの種類にかかわらずグリップ幅はナローグリップで握ることが上腕二頭筋への刺激率を高めるためには望ましいことがわかったわけだ。逆にワイドグリップでバーを握ると、上腕二頭筋がアイソレートされず、肩や背中の運動参加率が高くなり、そのために上腕二頭筋に行くはずの刺激が分散されてしまうようだ。肩や背中の参加率をカール運動によって高めたいというのであればともかく、上腕二頭筋の筋力アップ、筋量アップを第一の目的としてバーベルカールを行なうのであれば、バーの種類を変えるよりも、グリップ幅を変えたほうが賢明である。ナローグリップでカールを行なえば、上腕二頭筋がアイソレートされ、張りのある、ピークの高い上腕二頭筋を作ることができるはずだ。■
【実験結果の表はこちら】