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やるなら高強度で・・・。様々なトレーニング記事でそう書かれてはいるのだが、文字で見る“高強度”という言葉の意味はなかなか実感できないものである。実際に誰かが“高強度”のトレーニングをしている姿を見たり、自分で試してみたりして、初めて本当の“高強度”の意味がわかるのだ。
![]() マイク・メンツァーの勧める、極端に量の少ない高強度のワークアウトを試すのであれば、このビデオは必見である。メンツァーが言う「量の少ないワークアウト」というのは具体的にどれくらい少ないのか、“高強度”というのは、どれくらい高い強度なのか・・・。そういった疑問をすべて解決してくれるのが、この『HIT(ハイインテンシティー・トレーニング;高強度トレーニング)』エクササイズ・ビデオなのだ。 このビデオはメンツァーが「スポーツ書物の中で最高の出来映え」と自賛した彼の著書『ヘビーデューティ2;精神と肉体』をビデオ化したものである。自画自賛するだなんて、傲慢なヤツと思う人もいるかもしれないが、実際にボディビル界ではこの本はベストセラーになっている(編集部註:この本の日本語版はありません。アメリカでは数年前に発行され、以来、ボディビル関連の本の中では最も売れている本となっています)。 ビデオの中で実践されているプログラムだけをとってみると、それほど辛そうな内容ではない。全身を4分割したもので、各ワークアウト間には6日もの休日が取られているのだから。ワークアウト間に6日も休日を挟むだなんて、冗談じゃないと思う人もいるかもしれない。そんなに休んだら、筋力も筋量も落ちてしまうと心配する人もいるかもしれない。しかし、ビデオを見れば、6日の休みが必要であるわけが十分理解できるはずだ。何しろ、1回1回のワークアウトが見ていて気分が悪くなるほど“高強度”なのだから。それだけ“高強度”であるがために、6日の休みを入れなければ、とても次のワークアウトなどできないのである。このプログラムが目指すことは、ワークアウト毎に扱う負荷を増やすということだ。その負荷は重量の増加によるものであってもいいし、レップスの増加でもいい。いずれにしても、そのワークアウトで全力を出し、エネルギーを使い果たして終了させ、次回のワークアウトまでたっぷり休養を取るのである。 また、このビデオでは、メンツァーのウォームアップに対する主張も盛り込まれている。多くの人が「メンツァーはウォームアップを軽視している」と誤解しているようだが、ウォームアップがいかに重要で、ケガを予防することは何よりも大切であることをメンツァーは懇々と説いているのだ。彼が「無駄だ」と主張しているのは、その部位に行なうウォームアップではなく、本番のワークアウト前に行なうストレッチやエアロビクスのことである。ストレッチやエアロビクスは無駄であるが、高強度で特定の部位をワークアウトするのであれば、その前にきちんとその筋部をフル可動させる低強度、中強度、そして高強度のウォームアップをそれぞれ1セットずつ行なうことが不可欠であるというわけだ。 レップスのテンポについてもメンツァーは次のように述べている。ウェイトを上げ下ろしする際、筋力のレベルは3つに分けられるのだそうだ。つまり、ウェイトを上げるときの筋力、停止させたときの筋力、そして下ろすときの筋力である。それぞれの時点での筋力を最大限発揮するためには、上げるときに5秒かけ、停止したところで3秒保持し、下ろすときに5秒かけるというのが理想なのだそうだ。もし選択した重量が適切であれば、このテンポでレップスを行なうと、筋肉への刺激を限りなく体感することができるのだ。 ビデオの中で紹介されているルーティンには、メンツァーが勧めるレスト・ポーズ法も解説されている。1レップしかできないような高重量を選択し、その重量で1レップを行なったら、5〜7秒の休憩を挟んで、再びシングルレップに挑戦するのだ。スティッフレッグド・デッドリフトでレスト・ポーズ法を行なうマーカス・レインハートの顔は苦痛で歪み、見ている側を息苦しくさせるほどである。レインハートのフィジークは決して小さくはない。むしろ、形のいい、洗練された筋肉で全身が覆われており、調和の取れたフィジークが“HIT”で震え、限界まで追い込まれるのだ。 高強度トレーニングを試したいけれど、具体的にどのようにすればいいのかわからない、どこまで追い込めば高強度になるのかわからない、どの程度を“量の少ないワークアウト”というのかわからないという人たちは、ぜひこのビデオを見ていただきたい。HITに関するほとんどの謎が、このビデオで解決するはずだ。 HITの理論に賛同する人もしない人も、マイク・メンツァーの遺作となってしまった『HIT』ビデオを見て、もう一度トレーニングについて考えてみることを勧める。どうして賛成なのか、どうして反対なのか、明確に、理論的に説明できるようにすることがマイクのトレーニーへの願いなのである。■ (by Jonathan Lawson) |