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60分に収められたキング・カマリーのコンテストまでの道のりは、これまでのプロボディビルダーたちのビデオと少々趣が異なる。確かにトレーニングシーンもあるし、どんなサプリメントを摂取し、どんなものを食べているのかなども紹介されるのだが、自慢の車も、自慢のトロフィーも、自慢の豪邸もまだ持たない彼に、何だか妙な応援を送りたくなるのだ。2001年アイアンマンプロ・インビテーショナルまで8週間と3日前、カマリーの“人々に衝撃を与えるためのコンディション作り”が開始された。
トレーナーやパートナー、トップレベルのプロボディビルダーたちのコンディション作りに的確な指導をすることで知られるチャド・ニコラスがカマリーを追い込むためにチームを組み、カマリーのために始動したのだ。だから、ビデオの中でも、カマリーは“僕”という表現をする代わりに“僕ら”と表現することが多い。本誌2001年8月号、9月号でも紹介したキング・カマリーのインタビュー記事をそのまま画像にしたようなビデオであり、ボディビルダーはやはり“考える”ことをしなければトップに立てないことを伝えてくれる内容だ。 ビデオにはキング・カマリーが街のスーパーで買い物をしているシーンも盛り込まれている。ライスケーキを探すのにどデカいスーパーの中を歩き回り、どの野菜や肉にしようかと吟味し、好きな味のカーボドリンクがないことをぼやきながら買い物をするカマリーは、減量の辛い時期であるにもかかわらず、とにかく楽しそうなのだ。自分のすべきことはたくさんあり、いずれもよほどの根性がないと完遂できないことばかりなのに、彼はそれをまるで楽しむかのようにしてこなしているのだ。その精神がどれほど完璧なコンディション作りにとって大切かを語るキング。どれほどの根性が要求され、どれほどハングリーでなきゃいけないのかを語ってくれる。かつてミスターオリンピアとして無敵を誇っていたリー・ヘイニーが、プロに転向する前のキング・カマリーにこう言ったそうだ。「ボディビル界は君を待ってたんだよ。君みたいな選手を待っていたんだ。君がプロになっても最初の数年間は満足できる順位がもらえないかもしれない。でも、そんなことはいいんだ。そんなことは絶対に気にするな。順位なんかより、誰よりも一番声援をたくさん受けられる選手を目指せ。それができれば、間違いなく君はその後のコンテストでトップに立てる」と。知名度も低く、コンテスト経験もまだ少ないカマリーだが、ボディビル界に刺激を与え、ボディビル界を変革できるのはこの選手をおいて他にいないとヘイニーは見込んでいたのであろう。 「他人から中傷されることを喜びなさい。それは、みんながおまえのことを脅威に感じ始めた証拠なんだから」という父親の言葉をキング・カマリーは今も信じている。だから、カマリーにとって人からの中傷は褒め言葉よりもはるかに価値があり、意欲をかき立ててくれるのだ。 カマリーは非常におしゃべりである。黙りを決め込むタイプではなく、何のためらいもなくいろいろなことを話してくれる。コンディション作りのためにどんなトレーニングが必要で、どんなサプリメントが役立ち、どんな食事が不可欠なのかを語ってくれるのだ。秘密にしておくことは「これは秘密」と言うのだが、それ以外は、いずれもが決してプロのレベルだけに通用する話ではなく、アマチュアのボディビルダーたちも参考にできる事柄である。減量中のビタミンCがどうして特別重要なのか、炭水化物を制限している最中は多少の脂肪は食べるべきだとか、カーボアップの時は目覚ましを2時間おきにセットしておき、ベルが鳴ると同時に一定量の糖分が入った炭水化物を食べろとか、漠然とステップを踏むカーディオではなく、全身の筋肉を緊張させたまま一歩一歩足を前に出せとか、どうしてカーディオには60分を費やすのか等々・・・。 キング・カマリーの『ザ・ロード・トゥ・ビー・キング(王になるための道)』は、頭を使い、人並み以上の根性を持ち、絶えずプラス思考でいなければ、チャンピオンになることはできないことを教えてくれる。間違いなく諸君らのトレーニングに役立つ情報が満載されている。 |