今さらMRP?
 この記事を読み終わる頃には、諸君らは筋量、筋力の増加、さらには脂肪の減量が確実に行なわれる手段を学び、その手段に確信を持てるようになっているはずだ。そう言われても、これまでのことを考えると、“またか・・・”と投げやりになってしまう人もいるかもしれないが、そういう人は、今しばらくこの記事を読み続けていただきたい。諸君らのイライラ、悩みは私自身もよくわかっているつもりである。これをやれば、これを食べれば今度こそ大丈夫!と信じたのに、何度も裏切られ、そのたびに新しい方法が紹介され、また裏切られ、その繰り返しで今日まできてしまった。しかし、私が今回紹介するものは、既に市場で売られており、しかもいくつものメーカーが扱っているものであり、おまけに結果が得られたと大喜びするボディビルダーたちが何千も現われているのだ。
 私が改めて、ここで紹介したいのは、MRP、つまりはミールリプレイスメント、あるいは代用食のことである。MRPをトレーニングと組み合わせることで、それまでイライラし、悩み続けてきたボディビルダーたちの多くが筋量を増やし、筋力を伸ばし、脂肪の減量を成功させているのである。“そんなバカな!MRPなんて、今やボディビル界の常識じゃないか!”と思うだろう?それじゃあ訊ねる。諸君はそのMRPを本当にうまく利用しているだろうか?
MRPはメインミール
 どうしてそれほどまでMRPが役立つのか。その答えはただひとつ、MRPが完全補助食品であるためだ。どの栄養素も含有されており、しかもそれらがアスリートたちの身体に合うように的確な割合で含有されているからである。MRPはこれまでに登場してきたサプリメントや、これまでに紹介されてきたトレーニング法の中で、最もボディビルダーたちに貢献したものであると私は確信しているのである。MRPを利用してきたアスリートの中には、筋量や筋力が向上し、脂肪の減量が進んだだけでなく、エネルギーレベルが上昇し、心までもが健全になった気がすると報告た人たちもいた。考えてみれば、それも納得のいく話だ。というのも、MRPはただのサプリメント(補助食品)ではないからだ。正確に言えば、サプリメント(補助食品)というよりもメインミール(主食)であり、メインミールだからこそ心と身体を健全に保ってくれるのかもしれない。
 MRPを日々の食事メニューに取り込み、利用している人たちの多くは、MRPなしで過ごすことは考えられないと感じている。何しろ、MRPの多くは価格も1回分の食事以下に抑えられるし、美味しいし、それでいてミネラル、ビタミン、電解質など、身体にとって必要な栄養素を十分に補給することができ、おまけに筋肉を発達させたいと願っている人にとって、適度なタンパク質が含有されているからだ。もう、当てずっぽうに食事をし、それが筋肉の発達に役立つかどうかを試し、失敗し、試し、失敗することを繰り返さずにすむのである。
 私も現にMRPを1日3回利用している。1日3回、毎日利用しても飽きがこないし、MRPを利用し始めてから、私は3年間体脂肪率を低く抑えたまま維持することができている。それでいてトレーニングのエネルギーレベルは高く維持されているため、おかげで筋量を少しずつ増やし続けることができているのだ。ウエストは11.5cmも細くなり、あと10cm減らすことができたら、撮影のためのコンディションは完璧に整うのである。この4ヵ月についていえば、胸囲は4cm、腕と大腿囲は1.3cmずつ増え、46歳にしてはかなりの結果だと確信している。
 ここまでやり遂げられると、当然自信もつく。ジムでも外出先でも、周りに羨望のまなざしで見られたり、噂されたりすると、その自信はますます高まるのである。自信がつくと、何に対しても積極的になれる。おかげで、ガールフレンドもかなり増えた。冗談に聞こえるかもしれないが、MRPは諸君らをモテモテにしてくれるのだ。
 さて、自慢話はこれくらいにして、早速MRPのボディビルダーへの貢献度について考察していくことにしよう。
MRPのアナボリック&アンチカタボリック効果
 筋肉の発達は筋中にタンパク質が同化されることによってもたらされる。筋肉へのタンパク質同化、つまり、アナボリズムである。逆に、筋肉が小さくなるのは筋中のタンパク質が分解されるからであり、つまりはカタボリズムが起こるからだ。私たちの筋肉は常にこのアナボリズムとカタボリズムがバランスをとっていて、アナボリズムがカタボリズムを上回ると筋肉は結果的に作られ、逆にカタボリズムが上回ると筋肉のサイズダウンが起きるのである。筋肉を発達させるためには、できるだけアナボリズムの割合を増やし、アナボリズムのサイクルをできるだけスピードアップさせることが必要になる。そのために必要なのはアナボリックな環境であり、アンチカタボリックな環境なのだ。
 研究によれば、長時間続くアンチカタボリズムと短時間でのアナボリズムは、それぞれ乳タンパク中のカゼインとホエイによってなし得るということだ。そして、その両者が得られるような食事をすることは、総合的にタンパク質の同化を促進させ、筋肉の発達に多大な効果をもたらしてくれるのである。ご存知のとおり、ホエイプロテインは吸収が早く、血中のアミノ酸濃度を短時間でピークまで高めてくれる。ただし、その効果は何時間も続くわけではなく、2、3時間のうちに効果が薄れてくるのだ。一方、カゼインプロテインは吸収が非常に緩やかで、血液中のアミノ酸濃度を急激に高めることはできないのだが、ゆっくり徐々に高めていくため、カタボリックが起きにくいのである。
MRPの選び方(カゼイン)
 MRPには様々なブランドがあるが、選択するMRPに高品質のホエイとカゼインがバランス良く混合されているかどうかを見極めることが大切だ。どんなサプリメントを選択する場合もそうであるが、特にMRPを選ぶときは必ず商品のラベルを読む習慣を持っていただきたい。そして、タンパク質のところに必ずホエイとカゼインが含有されているかどうかを確認してほしい。カゼインは、メーカーによってはただのカゼインと表記されている場合もあるし、あるいはカゼイネート、カルシウムカゼイネート、ミセルカゼインなどと表記されていることもある。この中で最もお勧めなのがミセルカゼインである。というのも、ミセルカゼインは最小限の熱を加えて加工されており、加工の段階で分解されて変成してしまっているカゼインタンパク質の割合が少ないのである。
 カゼインを含有しているMRPには、ラクトフェリンの含有量も非常に高い。実験によると、ラクトフェリンが十分体内に存在していると、ダメージを受けた筋線維や組織が回復するために要する時間が半分に短縮されるというのである。トレーニングによって諸君らは確実に筋線維にダメージを与えているわけであり、それを回復させるときに筋肉の発達が起きることを考えれば、ラクトフェリンの含有量が高いMRP(つまりはカゼインが含有されているMRP)は非常に有用であることが理解できるはずだ。
 さらに、卵白のタンパク質が含有されているMRPを選択すると、アミノ酸のバランスが改善されることも追記しておきたい。
 MPRのメーカーによっては、アンチカタボリズムが筋肉の発達にどれだけ重要な役割をもたらしているかをまったく理解していないところもあるようだ。つまり、完全にアンチカタボリック作用を無視してMRPの成分を組み合わせていたりするのだ。カゼインにアンチカタボリズムの役割があることを知らないメーカーがMRPを製造したりすると、傷ついた筋線維の修復がアナボリズムと共にダブルで行なわれない。そういうメーカーのMRPは必ず宣伝文句でこう述べられていたりする。「うちのMRPのタンパク質は吸収速度の速いホエイだけで構成されている」と。そして、それが素晴らしいと勘違いしており、明らかに、カゼインよりもホエイのほうが優れていると誤解しているのである。諸君らも知ってのとおり、カゼインとホエイはお互いに長所があり、それぞれの長所が互いの短所をカバーし合っているのだ。つまり、どちらが優秀であり、どちらが劣っているという比較はできないのである。
MRPの選び方(必須脂肪酸)
 MRPのラベルには、メーカーによって必須脂肪酸が含まれているものとそうでないものがある。脂肪というと悪いイメージしか持たれていなかったが、最近では身体に不可欠な種類の脂肪があることは既に諸君らも知ってのとおりだ(だからこそフラックスオイルや魚油などの必須脂肪酸のサプリメントが作られ、販売されるようになった)。これらの必須脂肪酸には、研究によると、アンチカタボリックの作用があり、テストステロンの製造を高め、身体に体脂肪をエネルギー源として利用させることを覚えさせるというのだ。
 必須脂肪酸はさらに代謝、インスリンの反応、成長ホルモンの分泌量、免疫力、細胞エネルギーのレベルや窒素の滞留量を高めたり増加させると言われている。また、必須脂肪酸によって血圧、コレステロール値、神経機能なども改善されるようだ。この必須脂肪酸をMRPに含有させることで、MRPの質が高まり、また、脂肪が適度に含まれることによって口当たりも柔らかく、しかも味までもますます良くなるのである。飽きのこないMRPとは、すなわち、脂肪酸が含まれているMRPであるとも言えるのである。
 しかし、カゼインの重要性を理解していないメーカーがあるのと同じように、必須脂肪酸もまた、その価値が認識されていないことが多い。何でもかんでも“低脂肪”や“無脂肪”であることがいいわけではないのだ。そうラベルに表記されていたり、宣伝されていたりするMRPは、つまりは必須脂肪酸を含有していないことを宣言しているのと同じであり、そのメーカーは必須脂肪酸の重要性を理解していないことを公表しているようなものである。MRPを選択するときは、ラベルをよく読み、必須脂肪酸が含有されているものを選択することをお勧めする。
MRPの選び方(グルタミン)
 筋肉の発達を願うボディビルダーにとって、いかにグルタミンが重要であるかについて述べようと思ったら、相当量のページを割かなければならない。つまり、それほどまでにグルタミンはボディビルダーにとって不可欠な栄養素であり、筋肉作りに欠かせない栄養素であるということだ。
 グルタミンは血液中、筋肉中に最も豊富に貯蔵されているアミノ酸である。体内にそれだけたくさん蓄えられているならば、あえて摂る必要はないと諸君らは考えるだろうが、言い換えるならば、それだけ身体が生体を維持する上で消費しているアミノ酸であるとも言えるはずだ(事実そうなのである)。生体を維持するだけでもたくさんのグルタミンが消費されているわけで、ボディビルダーは筋肉作りのためにもグルタミンを確保しなければならないため、グルタミン・サプリメントが多くのボディビルダーたちに利用されているのである。また、グルタミンは免疫系の主要なエネルギー源であり、何十万個の細胞からなる小腸もこのグルタミンを主要エネルギー源として消費しているのだ。
 以上のことから見ても、完璧なMRPを求めるのであれば、グルタミンが含有されているものを選択するのが賢明であることが理解できるはずだ。また、含有されているグルタミンはペプチド型のもののほうがL型よりも優れており、L型に比べるとペプチド型は10倍も吸収率がいいのだそうだ。
自分に合った主要栄養素のバランスを見極める
 筋肉を発達させる上で基本となるのが、タンパク質、炭水化物、脂肪をバランスよく摂取するということである。もし、普段の食事でそれぞれのバランスを理想どおりに摂取しようと思ったら、肉(タンパク質)をどれくらい摂取し、炭水化物(イモ、米、パスタ、パンなど)をどれくらい摂取し、脂肪(良質の脂肪。ナッツ類や魚油など)をどれくらい摂取すべきなのかをすべて計画立ててコントロールしていかなければならないはずだ。ところが、MRPはそのような面倒が一切ない。何しろ、あらかじめすべてが計算されて含有されているのだから。もちろん、ブランドによってそのバランスは異なっており、炭水化物が多めのものもあれば、タンパク質が多めのものもあったりする。
 どちらのほうが優れているかについては一概には言えないのだが、その人の体質によって炭水化物が多いほうがバルクアップしやすい場合もあれば、炭水化物が多いと体脂肪が増えてしまう場合もある。したがって、まずはMRPのブランドによって炭水化物、タンパク質、脂肪がどのような割合で配合されているのかを調べ、自分の体質が炭水化物に対してどう反応するのかを見極め、限りなくそれに見合ったMRPを選択することが必要になる。
 私の場合、炭水化物を抑えめにしたほうが筋肉を発達させやすく、脂肪の増加量が抑制されやすい。したがって、私が自分のために選ぶMRPは必ず炭水化物の割合が低い。また、含有されている炭水化物が何を原料にしているのかについても知っておく必要があるだろう。例えば、デキストロースであったり、でんぷんであったりするわけだが、それぞれによってグリセミック指数が異なることも理解しておくことだ。私の場合、原料のグリセミック指数は限りなく低いほうがいい。つまり、血糖値が急激に上がるタイプの炭水化物は適さないのだ。グリセミック指数が低い炭水化物が原料になっていたりすると、私の場合はインスリンのレベルが常に一定に保たれて、脂肪として蓄えられてしまう量が制限されるのだ。
 このように、炭水化物ひとつとってもブランドによって異なるため、十分吟味し、自分に最も適したものを選択することが必要である。
栄養価値を高める要素
 MRPによってはビタミン、ミネラル、消化酵素などがあえて余分に添加されているものも多い。例えばカルシウムやマグネシウムが多めに含有されていると、特に消化能力の低い人や胃腸が弱い人にとっては非常にありがたいことなのだ。複数の大学で行なわれた実験によると、マグネシウムには筋力や筋量を増加させるメカニズムを補佐する役割があるという結果が得られている。したがって、もし選択したMRPにこれらのミネラルが含有されていないのであれば、カルシウムとマグネシウムのサプリメントなどを利用して、発達のための条件を最大限に満たしていく努力をすることが望ましい。
甘味料
 甘味料として使われているものにはデキストロース、砂糖、アスファルテームなどがある。それぞれの甘味料には特徴があり、選択するのは個人の自由だ。ちなみに、私が好きな甘味料はスクラロースである。スクラロースはノンカロリーの甘味料だが、砂糖から作られたものであり、過去10年の間に無数の研究が行なわれ、その安全性は十分に確認されている(編集部註:甘味料の中には健康に害をもたらすと言われているものがあり、アメリカではそういう物質に対して抗議するための市民団体なども作られています。したがって、人によっては、安全性の高い甘味料が含有されていることを非常に高く評価したりするわけです)。何度も言うが、スクラロースはノンカロリーであり、インスリンのレベルに何の変化ももたらさない甘味料なのである。
まとめ
 MRPは筋肉を発達させようとしている人たちにとって大いに利用できる完全食品だ。しかし、数多くのメーカーがMRPを発売しており、どれを選択すればいいのか迷ってしまい、結局、面倒になって利用するのを放棄してしまったという人もいるのではないだろうか。そんな人たちはもう一度、ここで紹介したポイントを押さえながら、各メーカーのMRPを比較することだ。そして、自分の目的、体質に合ったMRPを探していただきたいと思う。
 MRPを利用し始めたら、最低でも1ヵ月は続けること。1ヵ月の間に、全身の脂肪が少しだけ落ちて、筋肉に張りが感じられるようになるはずだ。もちろん、各部位を測定しても、それほど大きな増加が見られないだろうが、8週間が経過する頃には明らかに身体に変化が見られるようになる。そして、12〜16週間も続ければ、明らかに最初に比べてサイズアップと筋力アップが確実に得られていることを確信することができるようになるはずだ。(by David Young)■
[MRP比較表]
  メトレックス EAS社マイオプレックス マッスルリンク社
マッスルミール
タンパク質量 37グラム 42グラム 40グラム
タンパク質の原料 ホエイ
カゼイネート
エッグアルブミン
ホエイ
カルシウムカゼイネート
エッグアルブミン
ホエイ
ミルクカゼイン
エッグアルブミン
炭水化物 22グラム 24グラム 11グラム
必須脂肪酸 2グラム 2グラム 11グラム
グルタミン量 記載なし 記載なし 10グラム(ペプチド型)
甘味料 アスファルテーム アスファルテーム スクラロース