19歳でパワーリフティングを開始し、わずか1ヵ月後の全日本ジュニアパワーで優勝。パワーリフティングの天才児として登場し、数々の記録を塗り替え、28歳という若さで世界のトップに君臨する三土手大介選手のビデオが発売された。タイトルは『ノー・リミッツ』。彼が最も好きな言葉である。
 2001年1月号掲載のSTRONGインタビューにも登場していただいたので、三土手選手の存在をご存知の人も多いと思うが、彼の主な戦歴を簡単に紹介しておくと、2000年世界パワーリフティング選手権125kg級優勝。世界ベンチプレス選手権2連覇(1999、2000年)、全日本パワーリフティング選手権7回優勝、全日本ベンチプレス選手権6回優勝。そしてベスト記録はスクワット420kg、ベンチプレス300kg、デッドリフト315.5kg、トータル1035kg。もちろんすべて日本記録であり、ベンチプレスの125kg級では世界記録を持っている。
 ヘビー級のパワーリフターのイメージといえば、体重が重いから高重量が挙がると考えている人も多いかもしれないが、彼の場合、単に体重が重いから強いわけではない。身長170cm、胸囲145cm、上腕囲57cm、大腿囲83cm、前腕43cm、カーフ55cm、そして体重130kg・・・。太っているだけか?いや、体脂肪率はわずか16%という少なさである。つまり、ボディビルダー顔負けの筋肉の塊なわけだ。その質の高い白筋線維から繰り出されるパワーは圧倒的で、本当の意味で世界に通用するトップパワーリフターなのである。
 このビデオは、基本的にはパワーリフター向けと言えるかもしれないが、基礎的な筋量を作る必要があるボディビルダーにとっても非常に役立つ情報が盛り込まれている。最近、日本ではバルク型のボディビルダーが減っているような感じを受けるが、やはり基礎となるパワーリフティング3種目での高重量トレーニングを行なうことで、身体の基礎を作り上げていくことは、ボディビルダーにとって重要な課題ではないだろうか。そういう意味から、ボディビルコンテストを目指している人たちにも、三土手選手の高重量テクニックをぜひとも参考にしてほしいと思う。
 このビデオでは、パワーリフティング3種目(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)において高重量を扱うための基本的な項目、たとえばスタンス、手幅、目線、呼吸などの細かな事柄から、文章や写真では表現しにくい三土手選手独自の応用的なテクニックが映像でわかりやすく紹介されている。また、正しいフォームだけでなく、間違ったフォームについても解説してくれるので、ケガの防止はもちろん、普段、指導してくれる人がいないホームトレーニーにとっても非常に役立つはずだ。簡単にポイントを紹介すれば、「スクワットは腹圧」「ベンチプレスは背中」「デッドリフトはフォーム」が最も重要視されるということだが、詳しくはビデオを見て、みなさんで研究してほしい。
 また、このビデオではテクニックの指導だけでなく、三土手選手自身の大会風景も収録されている。420kgのスクワット、300kgのベンチプレス、300kgデッドリフトを成功させるシーンは圧巻である。加えて、ノーバンデージで300kg8レップスのスクワットに挑戦する彼のトレーニング風景は凄まじいの一言だ。
 また、トレーニング指導だけでなく、三土手選手自身のトレーニングルーティンや食事、サプリメント、そして大会に向けて最高状態で臨むためのサイクル・トレーニングについても詳しく紹介されている。特にサイクル・トレーニングは彼が最も重要視しているものであり、単に才能や素質だけで高重量を挙げているわけではなく、試合に向けて綿密な計画を立て、それにできるだけ沿った形でサイクルを組むことによって、自己ベストを更新し、試合で勝つことができる。つまり、サイクルの組み方ひとつで大会での記録は大きく変わってしまうわけである。
 三土手選手は現在、8月のワールドゲームスに向けてピーキングに入ってる頃だろう。優勝はもちろんのこと、記録の更新に期待がかかるところだ。
 120分と非常に長いが、パワーリフターを目指す人だけでなく、ボディビルダー、一般トレーニーにとっても、パワーアップのため、そして筋量アップのための貴重な情報が詰まったお勧めのビデオである。
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