![]() |
1996年以降、毎年オリンピアが終わると、必ずこのビデオが出てくるのを心待ちにしているという人も多いはずだ。そう、MOC製作の『オリンピアへの道』シリーズのビデオである。昨年のオリンピアが終わって、まもなく1年が経とうとしているが、待望の『オリンピアへの道6 2001』の日本語字幕入りがようやく完成したのだ。このビデオは、オリンピアの数週間前の選手たちの様子を記録したビデオで、オリンピアという大舞台を前に選手たちがどんなワークアウトをし、どんな食事をし、どんな心構えでいるのかを紹介している。もちろん、例年と同様、『オリンピアへの道6 2001』もその路線を引き継いでいるのだが、2001年に関してはちょっとだけいつもとは異なる点がある。それは、オリンピアの優勝者(つまりロニー)が出てこないという点だ。理由については、MOCの岡部氏の記事を読んでいただければ明らかだが、それでも『オリンピアへの道6』は見終わった後で物足りなさを感じさせない。それは、ビデオの終盤に、2位に終わったジェイ・カトラーが、オリンピア翌日からワークアウトを開始している様子を映し出しているためだ。ジェイのコンディションを見ていただければ、優勝したロニー・コールマンを見る以上に新鮮であり、ショッキングである。とにかく完璧を極めているのだ。ジェイについてはあまりここで触れないでおこう。ビデオを見たときの最大の楽しみをここで奪ってしまうのはもったいない。 『オリンピアへの道』シリーズは、トレーニングマニュアルの要素はないと考える人は多いはずだ。確かに、各部位のワークアウトシーンを選手が事細かに紹介するといったものとは異なるわけだが、それでも、トップレベルのプロボディビルダーたちが、オリンピアという最高峰のコンテスト前に、それぞれどんなワークアウトをして調整し、どんな食事をして最後の仕上げを行なっているか、コンテストが開始される間際までの様子を見ることで十分に学ぶことができるはずだ。プロと言えでも、最後の最後まで誰もが試行錯誤を繰り返し、微調整を繰り返し、最高のコンディションを作るための努力を最大限に行なっているのだ。どの選手も、調整のために行なう方法に確信を持っているわけではない。最後まで微調整をし、自分の身体のコンディションを最高の状態にまで持っていくのである。そういう意味では、プロもアマチュアもやるべきことに大差はない。だから、多くのことが学べるのだ。 たとえば、コンテストの間際まで高重量、低頻度、セット間の休憩を最小限に抑えた高強度法で筋肉を追い込む選手、コンテストの2週間前には高重量でのトレーニングを終了させ、あとは炭水化物をカットしながら、軽い重量を使ってハイレップスのセットを繰り返す選手と様々だ。脂肪がそぎ落とされたフィジークは、ワークアウトが進むに連れてみるみる表情を変えていく。ワークアウトを始めたときはそれほど絞れた様子ではないように見受けられた腕や脚が、ワークアウトを開始した途端に、太い血管が浮き上がり、薄くなった皮膚の下から筋線維が透けて見えてくるようになり、失われていた筋肉の張りがパンプによってどんどん膨らんでくるのである。オフのコンディションであれば、ここまで明確に筋肉が変化していく様子を見ることはできないはずだ。 食事についてもしかりだ。選手たちがコンテストコンディションを完成させるために、何日間炭水化物をカットし、何日かけて、どんなものを食べることで炭水化物をローディングしていくのか、1回にどれくらいの量の食事をするのか、間際になったらどんな栄養素の補給を心がけ、何に注意しているのか、私たちは選手自身の解説から、多くを学ぶことができる。 選手たちのプロ根性、それを評価する審査員たちへの要望も語られているし、どこまで自己管理できるかがコンテストコンディションを完成するための鍵となる。しかし、難しいことをいわずに、コンテストの翌日に食べられるピザやアイスクリームを夢見て辛い減量を耐え抜こうとしている選手もいる。誰もがフリーキーで、超人的なフィジークを持っているのに、誰もがひとりの生身の人間であることを思い出させてくれたりするのだ。 オリンピアはボディビル界の一大イベントである。コンテストの前に行なわれるオリンピアのエキスポでは、多くの関連メーカーがブースを出し、往年のボディビルダーたちもこぞって訪れる。美しく、セクシーなフィットネス嬢たちもファンに笑顔を振りまき、まさにボディビル界の祭典なのだ。オリンピアを見たことがないという人たちにとっては、まるでその場であの興奮を直に感じたような感覚を味わうことができるはずだ。さらに、コンテストの直前、カメラは選手たちの部屋に潜入し、選手たちがどんな面もちで、舞台の開幕を待っているのかも紹介されている。これは毎年オリンピアを観戦しているという人たちでもなかなか見ることができないシーンであろう。 毎年発売される『オリンピアへの道』シリーズだが、毎年異なるエッセンスが加わり、見る者を飽きさせない。毎年買っているから、今年も買おうという人も、このビデオシリーズは見たことがないという人も、買って決して損はしない内容だ。特に、次期ミスターオリンピアと噂され、それが近々現実になるであろうと期待されているジェイ・カトラーは必見である。 [今回のビデオに登場する選手たち] ●デキスター・ジャクソン ●クロード・グルックス ●ダレム・チャールズ ●オービル・バーク ●キング・カマリー ●クレイグ・タイトス ●ショーン・レイ ●メルビン・アンソニー ●クリス・カミアー ●トム・プリンス ●デニス・ジェームス ●ケビン・レブローニ ●JDデュワデュウ ●ジェイ・カトラー■ |